おかしな人々ーブラックデビルその4
ウチの職場は面倒な人間には好きにさせる傾向がある。
ブラックデビルの攻撃に大将のマウンティング。
限界が近かった。
駅のホームで電車を待つほんの10分位でも立っていられず、壁に寄りかかりウンコ座りをした。
いっそ飛び込んでしまおうかとも思った。
この時に電車に飛び込み自殺する人が多い理由が分かった。
首吊りなどと違って何の準備も要らないからだ。
また通勤時間帯に飛び込む人が出ると
「時間考えてやれよ!!」
という意見が良く出るが、そんな配慮出来るなら、そもそも飛び込まないだろうと言うことも分かった。
兼務リーダーがやたら細かいことを指摘するようになった。
サンダル履きが禁止されているのに、机の下にサンダルが置いてあるとか、そんなレベルのこと。
他の社員には注意しないのに。
未だに休みがちなのにイラついているようだ。多分、追い込んで辞めさせようとしたんだろう。
しかし運命が好転する時が来た。
ブラックデビルも、もう70歳を過ぎている。そろそろ勇退してもらおうこと言う事になったのだ。
2011年12月の事だった。
2008年6月から始まった3年半の地獄が終わったのだ。
この頃には感情が大分、壊れていたので嬉しいという気持ちは涌かなかったが、ブラックデビルが退社した翌日は身体がフワっとするようなホカホカした気持ちになった。
もう悪魔は居ないんだ。
翌年、2012年1月、ブラックデビルが死んだ。
肺炎で入院してそのまま死んだのだ。
どうも家族にも嫌われていたようで、子供が1人だけこちらに来て(奥さんとは離婚済み)、そのまま焼いて骨を持って帰って墓に入れる。告別式などは一切やらないとの事だった。
このころは、まだ心が回復していなかったので、ブラックデビルにかわいそうだなと言う気持ちが涌いた。
しかし、数ヶ月経ち心のエネルギーが回復すると、ブラックデビルにやられた数々の仕打ちがフラッシュバックの様によみがえり、どうせなら自分の手で殺してやりたかったと思うようになった。
死人の悪口を言うな。許してやれ。なんて嘘だと思った。
むしろ死ぬと仕返しする事が不可能になるから、一生許せなくなることが分かった。
そして木彫り面にはがんがん反撃するようになった。
俺はパワハラ前より攻撃的な人間になった。
ただ理不尽なことは一切しない。
自分がやられて嫌な事は、他人にしないのが原則だから。
心の汚い人たちとは違うのだ。
ブラックデビルの項、終わり。
おかしな人々ーブラックデビルその3
何が起きてもお前のやり方が悪いと言われる(これは自分でそう思う分には効果的な業務改善方法の一つだが、他人に言われると地獄)。
緊張するのでトイレに行って休憩する回数が増えると、席を外しすぎだと怒られる。
席に戻ってくるとブラックデビルが俺の机の上を見て仕事をチェックしている。
毎日、30分~1時間、立ったまま説教を受ける。
どれか一つだけだったら耐えられたかも知れないが、とてもじゃないがこの状況に耐えるなんて俺には無理だった。
翌日が就業日の時は熟睡できず、真冬でも全身、寝汗で水を被ったようにびしょ濡れ。
休日でも動悸がする。
休み明けは会社に行く勇気が出ずに休むことが多くなった。
兼務リーダーに言われて心療内科に行くことになった。
以前に自分から行こうと思うと行った時は鼻で笑われたが、余りにも休むので指示してきた。
薬は副作用でリラックス効果のある胃薬が出ただけだ。しかし眠くなる副作用もあったので、ただでさえ熟睡出来なくて睡眠不足の俺は会議中に寝てしまうことが増えた。
周りの人は上記の事情を知らないので、どんどん俺の評価、信用は落ちていった。
会社が業務委託しているカウンセラーも付いたが、ただ休まない様にしようと言うだけ。
休んでしまうとあからさまにがっかりされ、余計なプレッシャーになるだけだった。
おかしな人々ーブラックデビルその2
書類を回すと必ず何かいちゃもんつけられるので、どうせ怒られるなら明日まとめて怒られた方が良いかと後回しにするようになった。
ブラックデビルは勘が鋭いからそういうのもバレて余計に怒られるのだが。
俺が悪い面もあるが、言われてもどうしようもない事でも怒ってくる。
例えば役所などに出す書類で、本来は発行側が年月日を入れるものでも先方の意向で空白のまま出すものがある。
建前ではそんなことあっちゃいけないが、空白のまま出せと言われるのが現実だ。
それなのにブラックデビルは、社内の担当者になんで年月日が入れられないのか理由を聞けと言う。
担当者は役所にそうしてくれと言われているだけだし、役所も正当な理由なんて無いので答えが出ない。
それをどうにか説明しろと言ってくる。
完全にイジメである。
これが前述の書類寝かせの主な原因だ。
俺が担当している部署はそのせいで理不尽な問い合わせを受けて書類の戻りが遅いと言うことになり、そっちからは俺が恨まれる。
木彫り面はこうやって俺が説教されていると誰も頼んでないのに横から参加してきて一緒に説教し始める。
言ってることは全く筋が通ってないのだが、ここで木彫り面に言い返すとブラックデビルからの攻撃がさらに激化から我慢する。
なお、ブラックデビル、木彫り面がサインした同様の書類を見たら年月日は空白のままだった。
読んでいる方は、ここで反撃のチャンスと思われるかもしれないが、その時の俺にはもう、反撃するエネルギーは残って無かった。
ただただ、説教の時間が少なくなることだけを考えていた。
おかしな人々ーブラックデビルその1
ブラックでビルは元は関西方面の支社に居て、本社に異動になりいくつかの部署を経て俺が異動した部署の中心人物になっていた。
中心つっても実質3~4名の部署だけど。
年齢は当時、60代後半、バツイチ独身1人暮らし。
背は低めでガリガリで、顔つきは悪魔のごとく。
物の怪と呼ぶにふさわしい風貌だった。
この部署で俺の前に二人潰しており、その前の部署でも知っている限りで最低、一人は潰している。
今思えば何で問題にならなかったのか?
そういう時代だったからか?
仕事のやり方は兎に角、自分に非が無いように(他人のせいにする訳ではない)綿密に進める。
資料を請求しても送ってこない人間には、どうあっても送ってくるように工夫する。
その厳しさは自分で自分に科す分には良いのだが、それを他人にもやるから潰れる人間が出てくるのだ。
最初のうちは大した仕事もしていないから怒られることも無かった。
怒られるようになった切欠は、二つ頼まれていた仕事を一つの事と勘違いして、もう一つをやっていなかったから。
それが発覚したとたん、烈火のごとく怒り出した。
なお、その時、木彫り面は何も言われていないのに
「やっていると思っていました。」
と、言い訳をしていた。
そもそもお前に説明、受けてないけどな。
それ以来、怒りのルートが出来てしまい、執拗なチェック、罵声を浴びるようになった。
どっちでも良い事でも、俺が選択した方を否とし攻撃してきた。
説教が始まると30分以上、立ちっぱなしで聞かされる。
言ってる内容自体は一応、正論なので俺は言い返せない。
そこに木彫り面が関係ないのに横から言葉を被せてくる。
俺はどんどん弱って行った。
兼務リーダーは空気だった。